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活用例でわかるITSMフレームワーク

by Makenzie Buenning, IT Editorial Expert
ITSM Framework blog banner

主なポイント

活用事例でわかるITSMフレームワーク

  • ITSMの役割 : ITSMは、ITサービスを効果的に管理・提供するための体系的な指針を提供します。
  • 重要性 : ITSMは、IT運用をビジネスの目標と整合させ、サービス品質の向上や業務効率化の実現をサポートします。
  • 主なITSMフレームワーク : 代表的なITSMフレームワークは、ITIL、COBIT、ISO/IEC 20000、MOF、TOGAFなどがあります。
  • 対象: ITチーム、サービスマネージャー、ITサービスの提供体制の標準化や改善を目指す組織にとって、堅牢なITSMの導入は大きなメリットをもたらします。

ITサービスマネジメント(ITSM)は、ITサービスを提供する組織にとって重要なフレームワークです。この体系的なアプローチによってITサービスをビジネスのニーズと整合させ、価値の創出と効率化を実現できます。

AXELOSが実施した自己評価調査によると、回答者の約半数が自社のITSM能力を「非常に優れている」または「優れている」と評価した一方で、改善の余地があると認める組織もありました。こうした改善は、その改善はITSMフレームワークを活用することで実現できます。

今回のガイドでは、ITSMの概要と最適なフレームワークの選び方について解説します。

ITSMとは

ITサービスマネジメント(ITSM)とは、ITサービスの計画、提供、サポートを管理や改善するために用いられるプロセス、ポリシー、手順を包括するものです。

ITSMの目的は、企業のITサービスが顧客のニーズを満たし、組織全体の目標と整合していることを確実にすることにあります。端的に言えば、ITSMの品質向上、運用コストの削減、関連プロセスの標準化を実現するために、ITサービスを実際に管理や運用する取り組みを指します。

IT運用ワークフローを変革して、より効率的なサポートを実現します。

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ITSMフレームワークとは

ITSMフレームワークとは、ITサービスの管理と提供に対する、体系化および標準化されたアプローチのことです。ITSMに関するベストプラクティスや取り組み、プロセスのほか、それらを企業内で導入して実行するために必要なリソースやアクションが含まれています。

次に、ITSMフレームワークが実際の現場でどのように活用されているのかを示す4つの主なユースケースを紹介します。

ITSMフレームワークの4つのユースケース

ITSMフレームワークは、ITSMにおける具体的なユースケースや領域で活用されています。ここでは最も一般的な4つのユースケースを挙げています。

ユースケース

説明

インシデント管理
  • サービスの中断、セキュリティ侵害、システム障害を管理・解決する
  • ビジネスへの影響を最小限に抑える
  • 通常業務への迅速な復旧に重点を置いている
問題管理
  • 将来的な障害の発生を未然に防ぐ
  • 問題のプロアクティブな解決を可能にする
  • 繰り返し発生するインシデントの根本的な原因を特定し、対処する
変更管理
  • リスクや潜在的なダウンタイムを最小限に抑える
  • システムやサービスの変更や改訂を適切に導く
  • 変更を統制された手順で確実に実施する
ナレッジ管理
  • IT関連のナレッジ(知識)を作成、共有、保存する
  • 正確で最新の情報へのアクセス性を強化する
  • サポートチームの業務効率とユーザーの満足度を向上させる

これらのユースケースは、一般的にITIL、COBIT、ISO/IEC 20000といったフレームワークによって支えられており、業務プロセスの設計や継続的なサービス改善の指針となります。

こうした背景を踏まえると、ITSM戦略には信頼性の高いデータ保護ソフトウェアが不可欠です。NinjaOneのSaaSバックアップは、IT環境全体にわたるサービスの継続性確保とコンプライアンスの対応を実現する、自動化された安全なバックアップ機能を提供しています。

ITSMフレームワークの代表的な5つの例

1. ITIL

  • 対象:IT運用体制が整備された中堅・大企業
  • 主な活用例:ITサービス提供の標準化、継続的なサービス改善、インシデント管理

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITSMに関するベストプラクティスをまとめた一連の文書群からなるフレームワークです。 ITILのプロセスは、企業がサービス提供の効率を高めるとともに、関連する管理コストを削減するのをサポートします。ITSMに特化したフレームワークで、最も広く採用されているアプローチです。

ITサービスマネジメントに関する包括的なベストプラクティスを備えていることから、ITILは多くの組織に採用されています。 業界や組織の規模を問わず適用できる点が普及を後押しする要因となっています。 ITサービスのライフサイクルに重点を置いているため、組織はITサービスの計画から設計、提供、運用、継続的な改善まで効果的に行うことができます。

ITILフレームワークは、ITサービスライフサイクルの5つのステップのための指針とベストプラクティスを提供しています。

  1. サービス戦略:組織の目標に沿ったITサービスの方向性を策定
  2. サービス設計:ITサービスを設計(運用形態の計画、可用性管理、インフラ設計など)
  3. サービス移行:新規または変更されたITサービスを本番環境へ導入・移行
  4. サービス運用:導入後のITサービスを一貫して管理し、最適なパフォーマンスを確保
  5. 継続的なサービス改善:後の分析に役立てるための、主要なITサービス指標などのデータを収集

2. COBIT

  • 対象:強力なITガバナンスとコンプライアンスを必要とする企業
  • 主な活用例: IT環境とビジネスの目標との整合、リスク管理や監査対応のための戦略の導入

情報技術の統制目標(COBIT)によるフレームワークは、組織のIT管理原則やITガバナンスの指針となり、IT運用におけるプロセスをビジネスの目標と整合させることを目指し、 規制への準拠、情報セキュリティ、リスク管理といった領域に重点を置いています。

COBITは、規制や業界基準への準拠が求められる組織にとって特に有用で、 リスク管理、セキュリティ、コンプライアンスを重視しているため、金融、医療、政府機関などの業界の組織に最適です。

2018年に発表された最新のCOBIT 19フレームワークは、次の6つの基本原則に基づいています。

  1. ステークホルダーのニーズへの対応:ITサービスを関係者の要件に確実に準拠させます。関係者には、従業員、投資家、ステークホルダー、顧客、規制機関などが該当します。
  2. 包括的アプローチ:組織におけるあらゆる要素が、ITガバナンスの管理による恩恵を受けられるようにするアプローチです。
  3. 動的なガバナンス体制:変化するビジネスの目標や新たなリスク、差し迫った改善などへの調整にITプロセスが適応できるようにする仕組みです。
  4. ガバナンスとマネジメントの明確な区別:ガバナンス(リーダーによる高レベルの意思決定)とマネジメント(マネージャーやチームが実行する業務)を扱います。
  5. 企業のニーズに合わせた調整:組織の規模、構造、業界、戦略的目標などの要員に合わせて、ITガバナンスとマネジメントをカスタマイズできるようにします。
  6. エンドツーエンドのガバナンス体制:一貫性と説明責任を確保するために、組織のあらゆる部門にITガバナンスを統合します。

3. MOF

  • 対象:Microsoftのテクノロジーやサービスを利用している組織
  • 主な活用例:Microsoft製品を基盤とするIT環境の管理、Microsoft System Centerツールとの連携

Microsoft Operations Framework(MOF)は、ITサービスプロバイダーが効率性と有効性を向上させるための指針となるよう設計された、オープンソースのサービス管理フレームワークです。MOFは、ITサービスの価値と信頼性を最適化するための組織や管理の原則を定めています。 開発元はMicrosoftですが、Microsoft製品や環境に限定されることなく広く利用されています。

当初はMicrosoft環境向けに設計されたものの幅広い組織に適した原則で、 ITライフサイクル全体を包括的に捉えるアプローチを採用しており、 組織のITSMサービスの継続的な改善に重点を置いています。

MOF 4.0はITライフサイクル全体を扱い、 3つのフェーズと、すべてのフェーズに適用される1つのレイヤーに分類しています。

  1. 計画フェーズ :組織の目標と整合するITサービスを計画する段階です。
  2. 提供フェーズ:ITサービスの設計、構築、テスト、展開などの段階です。
  3. 運用フェーズ:ITSMサービスの継続的な管理と監視を行う段階です。
  4. 管理レイヤー:MOFのすべてのフェーズにまたがる能動的な監督機能を含む層で、サービスの品質やガバナンス、改善を確保します。

4. ISO/IEC 20000

  • 対象:ITSMの品質に関する国際認証の取得を目指す組織
  • 主な活用例: 高品質なITサービス基準の証明、認証されたITプラクティス(実践手法)が求められる契約への入札、ITプロセスの全般的な改善と体系化

国際標準化機構(ISO)と国際電気技術委員会(IEC)は、ITSMに関する国際規格として「ISO/IEC 20000)」を策定しました。この規格は、ITチームが自らのITSMプロセスや実践手法を、ビジネスの目標や国際的なガイドラインと適合させるためのベンチマーク(指標)となります。

ISO/IEC 20000は、高品質なITサービスの提供に対する取り組みを対外的に示したいと考える業界や組織に適しており、サービス提供やコスト効率など、業務のさまざまな側面を強化することができます。

ISO/IEC 20000は全10部で構成されていますが、その中でも第1部と第2部が最も重要で、ITSMに直接適用される部分です。

第1部:サービスマネジメントシステムの要件:サービスマネジメントシステム(SMS)の構築や導入、運用、改善に関する中核的な要求事項が定められています。ISO/IEC 20000-1などのITSM規格に基づく認証を取得するために組織が遵守すべき公式な規定が含まれます。

第2部:サービスマネジメントシステムの適用に関するガイダンス:第1部にで規定された要求事項を適用する際の参考ガイドやベストプラクティス(活用方法)を解説します。また、効率的な運用に向けたITサービス原則の実践に重点を置いています。

5. TOGAF

  • 対象:ビジネスの目標に整合したITアーキテクチャーの設計や管理を行う企業
  • 主な活用例:エンタープライズアーキテクチャー(EA)の計画、ITインフラとビジネス戦略の整合、デジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトの管理

The Open Group Architecture Framework(TOGAF)は、ITの目標をビジネス全体の目標と整合させることで効率の向上を図るためのエンタープライズアーキテクチャーのフレームワーク、またはその手法です。企業全体を俯瞰し、ソフトウェアやその他のテクノロジーの活用と導入のあり方を重視します。

TOGAFは組織が実行するIT戦略をビジネスの目標と確実に整合させるための原則を提示します。この点は前述のフレームワークと同様ですが、TOGAFのフレームワークはIT環境が複雑な大規模組織に適しており、 エンタープライズアーキテクチャー設計や導入、ガバナンスに関する標準化されたアプローチを提供し、ITへの投資が組織の全体的な目標を確実に支援できるようにします。

TOGAFの各原則は、「名称」「記述」「根拠」「影響」という4つの要素で構成されています。また、21のアーキテクチャー原則を含み、それらは次のグループに分類されます。

  • ビジネス原則:ITの取り組みとビジネスの目標との間に明確な関連性を確立し、事業のあり方を形成するための指針です。
  • データ原則:データの管理や維持、利用のあり方に関する指針です。
  • アプリケーション原則:アプリケーションの設計や開発、統合を行う方法に関する指針です。
  • テクノロジー原則:ハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどの技術インフラの管理に関する規則です。

ITSMフレームワークのメリット

ITSMフレームワークの主なメリットには以下の通りです。

効果的なITSMプロセス

ITSMフレームワークを指針としてITSMの計画を策定することで、より標準化された効果的なITSMプロセスを実現できます。これにより、ITサービスの提供が改善され、インシデントの削減や顧客満足度の向上につながります。

NinjaOneはITSMと統合エンドポイント管理を連携させ、業務効率化を推進します。

説明責任(アカウンタビリティ)の向上

現在のITサービス提供やプラクティス(実践手法)、運用プロセスをITSMフレームワークと比較することで、ITチームは不足している要素を把握し、ITSMを改善する方法を可視化できます。 また、企業が変革を推進し、プロセスの改善に取り組む際、ITSMフレームワークは比較の基準点として役立ちます。

ビジネスとの整合性の強化

ITSMフレームワークは、組織がITの実践や運用プロセス、サービス提供全体をビジネス全体の目標と整合させるのに役立ちます。これにより、企業は課題を解消し、目標に沿った運用が可能になります。

ITSMフレームワークの課題

ITSMフレームワークにおける主な課題として、次の点が挙げられます。

複雑さ

ITSMフレームワークは詳細な情報が多岐にわたるため、複雑で圧倒されてしまう(負担に感じてしまう)ことがよくあります。導入や適応を円滑に進めるために、フレームワークの専門知識を持つ人材の起用を検討すること推奨します。

リソース

組織へのITSMフレームワーク導入には、多大な時間とリソースが必要になる場合があります。導入を成功させて継続的に管理していくために必要なツールやテクノロジー、人員を考慮した計画を事前に策定すること推奨します。

統合性

選択したITSMフレームワークは、既存のITツールや運用システム、業務プロセスと統合できる必要があります。フレームワークをどのように統合してビジネスと整合させるのか、事前に戦略を策定することを推奨します。

ITSMフレームワークを活用してITサービスを向上

どのITSMフレームワークを採用する場合でも、NinjaOneはITSM管理とエンドポイント管理を統合することで、より優れたITサービスの提供を支援します。シームレスな連携機能や時間のかかる反復的なタスクの自動化により効率的に顧客をサポートすることを可能にするとともに、 あらゆるエンドポイントの状況を完全に可視化できるため、技術者はITサービスの提供やニーズに対応する際に、より詳細な情報を把握した上で適切なアクションをとることが可能になります。

NinjaOneはエンドポイント管理やリモートアクセス、チケット管理、ドキュメント管理など、さまざまな機能を提供するソリューションです。 デモ動画をご覧いただくか無料トライアルへ登録し、統合IT管理のメリットをご確認ください。

FAQs

ITSM(ITサービスマネジメント)は、ITサービスを管理するための包括的な概念および全体的なアプローチです。一方、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントに関する詳細なガイドから構成された、ITSMを実践するための一連のベストプラクティスを提供する具体的なフレームワークです。

ITSMのサービスライフサイクルは、最も一般的に使用されているフレームワークであるITILに基づき、以下の5つのステップに分類されます。

  • サービス戦略:このステップでは、組織のビジネスの目標と整合するITサービスの方向性を定義します。  また、顧客が必要とするITサービスとIT部門が提供可能なサービスを特定し、顧客の期待に応えるITサービスを円滑に行えるようにします。
  • サービス設計:次のステップはサービス設計であり、ここではサービス戦略に基づいた具体的な計画を立てます。  組織は、目標を補完し、達成するためのITサービスを設計します。
  • サービス移行:サービスを開発環境から本番環境へ移行するプロセスを指します。  これまでのステップで計画されたすべての要素を導入し、ITサービスを実際の運用環境(ライブ環境)へと展開します。
  • サービス運用:第4のステップはサービスの運用で、ITサービスの継続的な管理と保守を行います。  この段階は、ITサービスを最適な状態で稼働させ、ダウンタイムを最小限に抑えながらユーザーの満足度を最大限するために重要です。
  • 継続的なサービス改善(CSI):最終段階であるCSIは、ITサービスを評価し、改善すべき領域を特定する循環的なプロセスです。  主要なITサービス指標を分析するための継続的なデータ収集や、実施すべき改善策の検討などを行います。

ITSMに最適なフレームワークの選定は組織の要件によって異なりますが、 参考にできる一般的なベストプラクティスをご紹介します。

  • 組織の規模に基づいてフレームワーク選定:小規模な組織に適したフレームワークもあれば、 大規模な組織向けに最適化されたフレームワークもあります。 自社の規模に最も適した選択肢をリサーチし、検討します。
  • 規制要件を考慮:組織が遵守すべき業界固有の規制を確認します。 業界によっては規制要件がフレームワークの選定に影響を与える可能性があるため、この点は非常に重要です。
  • 現在のITインフラの見直し:既存のITインフラが選定するサービスフレームワークとどの程度適合するのかも考慮する必要があります。
  • 組織の文化や成熟度に合わせてフレームワークを調整:成熟度の高い組織であれば、より高度なフレームワークが適している可能性がありますが、成熟度がそれほど高くない組織では、より基本的なフレームワークが必要となる場合があります。

ITSMモデルを導入する際に生じる可能性のある課題で 最も一般的なものとしては、プロセスやツールの変更に対する現場の人々の抵抗、導入リソースの不足、フレームワークの複雑さ、既存ツールとの連携などが挙げられます。

一貫性のある高品質なITサービスを提供することを目指す組織にとって、ITSMフレームワークを理解することは不可欠です。実際の現場でこれらのフレームワークがどのように機能するのかを視覚的に分かりやすく解説した動画「活用事例で分かるITSMフレームワーク」を、ぜひ併せてご覧ください。

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